パオロ・ベア / paolo bea 2023.6.9
パオロベア
ラピディウスの区画。フサの先端で二つに別れてるのがトレビアーノ・ポスティーノの特徴。樹齢100年のフランコピエ。
アルボレウスの区画(写真)。支柱となる大きい木(楓)の周りに2本植え、楓の大木に寄り添って、葡萄の木も上へ伸びていく、いう変わった仕立て。これは、ここら辺は平地で川もあるので雨が降ると水害に悩まされる土地だった。通常の仕立てでは水害時に葡萄が全滅してしまう為、上へ房をならせる必要があった。そのことにより生まれた仕立て方法との事。(他の地域では見ない)葡萄栽培は、生活に密着してるからそれぞれの地域、環境に合った仕立て方法がある。ヘクタール辺りの収量の話ではない。12箇所でそのように栽培していて、260本で約8tのブドウの収穫、多い年で12,000本の瓶詰め。
干し葡萄19年20年21年22年。干し葡萄の皮の食感が無くなった時にタンクへ投入する。
セラーは全部重力で醸造が出来るようになっている。階段を地下に下がるとどんどん寒くなる。
タルが並んでる床はコンクリートで埋め尽くすのではなく、隙間に地表面を残すことで蒸気や湿気をダイレクトに取り込んでる。いわゆる空気の循環を意識した建物構造になっていて、建物内に風や自然の空気を取り入れる仕組みができている。
15年以降は暑い年が多く、発酵がステンレスタンクに入れてる間に終わらなくて、熟成樽に入れたら終わったときがある。
ボトリングのタイミングを決めるのにも責任を感じてプレッシャーがある。樽から試飲して、自然に飲み切ることができたのならボトリングのタイミング!グラスに残ったらまだそのタイミングじゃない。
空になった樽は100度くらいのお湯で樽内を洗浄する。完全に木の目を綺麗にすることが目的。目が詰まってしまうと汚染のリスクだけではなく、樽が呼吸できなくなってしまう。
当主ジャン・ピエロは元建築家らしく、建物内の気の流れがなるべく外環境と一致しているように作られているセラーは圧巻だった。また楓の大木に葡萄の木を2本絡ませるという仕立ても、他では見たことのない仕立てだった。その土地に合った栽培方法をとっていることは、ヘクタール当たりの収量とは無縁、効率とは無縁の方法だが、まさに葡萄栽培が生活に根付いていることの証だった。
樽からの試飲の際、樽についている蛇口を捻ってワインを抜き出すのだが、それが終わると一つ一つ丁寧に蛇口の管の中を拭きあげており、丁寧な仕事ぶりが伺えた。